2021京大英語和訳
東大の英語について先日書いたので、今日は京大の英語について書いてみます。
これは、2021京大英語の和訳問題ですね。受験生が難しかったといっていた第2問について取り上げてみます。問題全文はこれ。
予備校さんも難とかやや難とか言ってはります。
これは、ダーウィンの種の起源という本というかそこでの説について、Lewesという人がどのように評価したかについての文章でした。
これこれこのような理由ですごく当時のヨーロッパに影響力を与えたと書いてました。
語彙レベルは全体として高く、京大としてありがちですが文章は硬めです。文の難易度が高い場合、緊張してると頭に内容が入ってこない場合があり、その場合何度も読み返さないといけないことになるので、本番前に少し英文を読んでから臨むといいかなと。
自分は34分くらい答案を書き上げるのにかかりました。多分半分くらいで読んで、半分くらい書いてるくらいじゃないでしょうか。一般に言っても、長文1題あたり35分〜40分くらい時間をかける人が多いんじゃないかと。英作2問で大問1問分だと考えると、均等割して1大問40分ですからそんなもんかなと。でも、京大の場合、東大と違ってそこまで時間が問題にならないかもしれませんが。
第2問の(3)の和訳問題だけ取り上げてみたいと思います。
And this explains, what would otherwise be inexplicable, the surprising ease and passion with which men wholly incompetent to appreciate the evidence for or against natural selection have adopted or "refuted" it. Elementary ignorance of Biology has not prevented them from pronouncing very confidently on this question; and biologists with scorn have asked whether men would attack an astronomical hypothesis with no better equipment. Why not? They feel themselves competent to decide the question from higher grounds. Profoundly convinced of the truth of their general conception of the world, they conclude every hypothesis to be true or false, according as it chimes with, or clashes against, that conception.
といった文でした。太字が和訳箇所です。
And this explains, what would otherwise be inexplicable, the surprising ease and passion with which men wholly incompetent to appreciate the evidence for or against natural selection have adopted or "refuted" it.
そして、このことはその他の方法では説明できないだろうことを説明している。つまり、自然淘汰説に賛成または反対である証拠を理解することがまったくできない人々が、驚くほど容易にまたは情熱的に自然淘汰説を採用または反駁してきたということを説明している。
※語彙でいうとinexplicable, wholly, incompetent, appreciate, for, against, adopt, refuteあたりをしっかり知っていて適度に文脈に沿って訳せるかが問われています。explicitやwholeやcompetentを知っていればinexplicableやwholly,incompetentは最悪推測できますね。知ってるべきではありますが。
※文構造的には、otherwiseのところの仮定法、what〜inexplicable,とthe surprising ease and passionの同格、関係詞の中の主語のmenがselectionまで支配していること。ease and passionのところは名詞のまま訳すというよりは副詞的に訳した方が意味が伝わりやすいかなと思います。thisはたぶん説明しなくてもいいんじゃないかなと思います。
Elementary ignorance of Biology has not prevented them from pronouncing very confidently on this question; and biologists with scorn have asked whether men would attack an astronomical hypothesis with no better equipment. Why not?
生物学の初歩すら知らないことにより、人々はこの問いにとても自信をもって発言することを妨げられてこなかった。そして、生物学者は軽蔑をもって尋ねてきた。人々は同じくらい少ない知識で天文学の仮説を攻めるのだろうかと。なぜそうしないのか。
※語彙としては、Elementary ignorance, pronounce, scorn, astronomical, hypothesisあたりの訳出で差が出ると思います。no better equipmentではまずeqipmentを知識と訳すのに勇気がいりますし、前のignoranceと比較してno better(同じくらい全然良くない)だと分かって訳すのは難しいです。
※文構造としては、前半はprevent A from Bは知ってるのは当然ですが名詞構文的に訳す方が意味がとらえやすいかなと思います。そうしなかったとして減点されるかはわかりませんが。whetherのあとのwouldが仮定法なのかどの部分が仮定なのかをとらえられるか。あと最大の争点は、Why not?のところに何が省略されているか?ですね。why don't men attack~?というように省略を補って答えることが大事です。ただ、その省略が曲者なんですね。意味としては、天文学の仮説の場合生物学のときと同じくらい少ない知識で攻めない(反論したりしない)でしょ?なぜしないの?当然ちゃんと知識いるでしょう?生物学についても前提知識いるに決まってるじゃん、賛成したり反対するならちゃんとした知識もってからにしてや、みたいな非難というかそんな感情を表しているのかなと自分は思います。でも、予備校の解答も何を省略されているかで割れていましたし、省略内容をごまかしていて書いてない解答も多かったです。実際受験生は多少運勝負となったと思います。予備校はめちゃくちゃ時間をかけて複数人で検討してそれでも割れているわけですからね。
また、(1)に文章全体から判断してLewesが最重要視しているものを第2パラグラフから選んで日本語から書きなさいという問いがありました。
これはつまり文章全体を読んでからじゃないと答えられないということですね。(1)の下線なのにね!京大の設問ってめちゃくちゃ短いわけなので、先に10秒くらいだけでも設問に目を通しておくと安心して問題に取り組めるんじゃないかと思います。
いずれにせよかなりの難易度だったのではないでしょうか。出典が1868年と古いものからの抜粋だったので硬い昔ながらの京大っぽい文章という感じですね。哲学的な文章とか好きですしね。今回のは少し理系寄りですが。精読のレベル、語彙のレベルは最難関系統の英文解釈の参考書レベルまでやりこんでおいた方がいいですね。(独学でやるなら、英文読解の透視図とかポレポレとか。京大の過去問とか。)
でも(2)(3)はあんまり内容分かってなくても部分点拾えなくもないですが。(1)はこの問題形式だとall or nothingなら近いかもしれませんね。怖い。
おしまいです。