2021京大文系数学 出題意図は?
松谷です。
先日京大理系数学のことを書きましたので、京大文系数学のことも触れてみたいと思います。
2021の京大文系数学はめちゃくちゃ簡単でした。正直ここ10年くらいで一番簡単だったと思います。
一方で、2020の京大文系数学はめちゃくちゃ難しくて、ここ10年くらいで一番難しかったんですね。
つまり、前年の問題が難しすぎて数学の得点差がつかず全員が低調に終わってしまったので、その反動で易しくなったということですね。ちなみに2020は合格者のデフォルトが5問中1問だけの完答でした。2問完答でかなりリードみたいな。
2021はむしろ4問完答したいという問題で、満点も何人かいたそうです。
で、まあ、学校の章末問題レベルの問題をとりあげても仕方ないので、1問だけ京大文系受験生には難しく感じただろう問題を取り上げたいと思います。京大理系受験生だとちょうどうまく弁別できるくらいの問題です。
第3問の確率の問題です。
問題全体はこちらです。
ちなみに、京大は出題意図も公開してくれています。
こちらです。
役に立つかはわかりませんが、そらそうだよねという意図が書いてあります。
さて、第3問の確率の問題はこんなんでした。
ちょっと問題文が長いですが、
箱がn個あるときに、ある操作後にある状態になってる確率を求めよという感じです。
こういうn絡みの確率を京大は大好きなんですね。
n絡みの確率では大きくいうと、
・地道に場合分けなどして数え上げる問題(シグマを使ったり余事象を使ったり工夫はありえます)。
・確率漸化式を使う問題。
の2パターンがあり、どちらでも解ける問題もよくあります。
しかも、京大は東大と違って絶対といっていいくらい解法を指定してきません。たとえ難易度を少し落としてもその自由度こそが京大らしさなんですね。
でも、いずれにせよ、こういう問題と対峙した時に、1番大事な作業があるんですね。しかもそれは普通綺麗な模範解答の中には出てきません。
それがnに小さい数を入れて調べてみる、いわゆる実験という作業ですね。
そのなかで規則性などの状況を掴むことが最大の肝になるわけです。
そこで掴んだ状況を一般化していけばいいわけですね。
答案としては別にかかなくてもいいんですけど、あえて上の答案には残しておきました。最初の赤枠の部分ですね。
そのなかで、規則を掴むわけです。ここでは、1回目の○か✖️かでの確率の対等性や、最後の箱の状態によって、2/3か1/3か決まるななどを掴みます。
で、右上の赤枠のような状態推移図をかいて確率漸化式を立てるわけですね。
解答でもだいたいこんな風に書いてますよ。
しかしながら、ここには大事な視点が抜けています。
それは、どのように考えたら一般化しやすいか?となぜ確率漸化式を立てようと思ったのか?です。
で、僕が経験の中で意識しているのは、n番目によってn+1番目が遷移的に決まるようなときとか、無限ループするときには、確率漸化式がかなり有効なんですね。
さらに、1番目と2番目の関係、2番目と3番目の関係は究極的にはn番目とn+1番目と同じだという意識があると一般化しやすいと思います。
ほかにも、確率漸化式の問題では、いくつか意識しておいた方が得なことがありますが、まあこのブログのそれはいいでしょう。
とにかく、小さい数字で実験して調べる中で規則をつかんで一般化するというのを意識してもらうのが大事だと思います。
ちなみに、この問題は、漸化式でなくても、シグマを使って地道に解けるんですね!良ければ考えてみてください!
それも京大らしいですよね!!
ちなみに確率漸化式は、東大では10年くらい前はかなり流行ってましたけど、最近はあんまり出てないですね。