東大京大阪大の入試準備の違い
関西圏である程度学力が高い生徒であれば、東大、京大、阪大を受けようかなと思って、迷うようなこともあるかと思います。途中で切り替えたりすることはできるのかなと不安になることもあるかもしれません。
そこで、簡単に、入試の傾向の違いと準備の違いを述べたいと思います。主に僕が見ている数学と英語を中心に。
東大
数学:誘導はあるが発想力必要、論証力必要、計算力必要、数3の比重も高く問題の分量も多い。難易度は割と安定していて6問中3問完答すれば理科1,2類であればほぼ勝てる。文系もこの数3を除いたバージョン。2完すればほぼ勝てる。
→標準的な入試問題を一通り解けるようになったあと、やや難しい問題に対して、解法の糸口をつかんでいく訓練が必要。数3の積分などの高度目の知識も押さえておきたい。通過領域系統の問題がとても好き。文系も数3以外は同じ。
英語:問題の種類が豊富(要約、文補充、和文英訳、自由英作、リスニング、和訳、語句整序、誤文訂正、和訳小説読解。)時間がタイトで処理力が必要。文自体はめちゃくちゃ難しいわけではないが、量がえぐい。
→音読やシャドーイングなどを通して早く読む訓練が必要。ただ要約や和訳もあるので精読力があるのが前提。本格的なリスニングの対策の比重がすごく重い。小説読解なども対策しておきたい。過去問や模試問を通して時間対策が必須。ある程度ちゃんと考えられたうえで、全部解き終われるようになればほぼ勝てるであろう7割くらいまでは到達しやすい。一方で、そこから8割や8割5分などを目指すにつれて伸びが恐ろしく鈍化する。
その他:共通テスト9割くらいとりたい。得意な人は12月からの対策でOKだが人による。二次の国語の対策の比重は人によってかなり変わる。バランス型の人は対策するし、差がつきにくいから理系の人は最低限の対策で済ませる人もいる。文系はしっかりやらねばならぬでしょう。
京大
数学:誘導がほとんどなく発想力必要、論証の京大と言われるだけあって論証力かなり必要、計算力はあまり重視されていないか。数3の比重が低く全体の処理の分量としては重くない。難易度は割とぶれがあるが6問中3問完答すれば医学部以外であればほぼ勝てる。文系は5問だが結構簡単な年も多く、2完~3完くらいが目指すところでしょう。
→標準的な入試問題を一通り解けるようになったあと、やや難しい問題に対して、解法の糸口をつかんでいく訓練が必要。整数問題や数列の問題などは調べながら小さな発見を通じて解法を思いついていく訓練が大事。また、一般的な設定での三角形や四面体などの問題が好きで、ベクトルを用いたり自分で座標設定したり道具を選んでいくことが求められる。そして、完答が重視されていると言われているので、多少下手だったとしても解き切る力も結構重要。京大の過去問や塾のテキストなどでそういった雰囲気を感じておくべしで、東大とは少し毛色が違う。数3は出る割合は少ないが、出るときは標準問題であることが多いので、計算まで確実に合わせるべし。計算ミスしたら0点と心得ておくべし、実際、第1問(2)などにある積分問題は0か100かだそうです。
英語:問題の種類が少なく、和訳と英作だけだった。しかし、近年は自由英作と内容説明が出されるようになった。時間はそこまでタイトではないが、英文自体がかなり難しい。また、和文英訳もかなり特徴的で、直訳は難しいので、1文1文の意味を自分なりに咀嚼して英語に置き換えることになる。対策が結構必要と言える。
→とにもかくにもまずは精読力を高めなければ土台に上がれない。最難関と言われている教材まで精読に関してはやっておくべきです。あとは、英作文の訓練も結構必要です。特に日本語の意図を読み解いて、英語に変換するのは慣れが必要。そのままの直訳ではそもそも英語が存在しないみたいな感じになってしまって大幅に減点されかねないです。
その他:共通テストは8割5分くらいはとりたい。でも工学部などは特殊配点なので、社会に全振りする人も多い。二次の国語の対策の比重は人によってかなり変わる。バランス型の人は対策するし、差がつきにくいから理系の人は最低限の対策で済ませる人もいる。文系はしっかりやらねばならぬでしょう。
阪大
数学:小問による誘導が多いが後半の問題は発想力が必要。整数や確率なども良く出るし、数3の割合もかなり高く計算量も多い。どちらかというと東大に傾向が近い。5問中2問完答がまずの目標で、医学部は3問完答+αが目標になる。採点が甘いという噂もあるので、部分点はできるだけもぎとりたい。文系は3問しか出ずに近年はかなり易しめの出題であり、どの分野が出るか分からないので穴を作らず標準問題をしっかりとれるようにしたい。簡単な年なら2問完答したいが、それなりの難易度の年なら1問2半でも。
→数学については、東大とほとんど同じような対策になるかなという印象です。京大志望だった人は、数3の対策をしておくべきかと。1問30分なので時間は少し違います。あと、小問が多いときに、(1)と関係なく(2)をとったり、(1)ができたとして(2)を解いたりとかそういったことも貪欲にしていくべし。
英語:英文和訳、内容説明、和文英訳、自由英作文とバラエティに富んだ良質な問題。実力がきれいに反映されるだろう問題で、時間的にはそれなりにタイト。
→英文和訳や内容説明は京大の対策と被るところが多いと思います。内容的にも、京大の英文や日本文の少し簡単なもの(といっても難しい)に対して高精度で答えていく必要があります。京大受験者が阪大の問題を練習に使うことも、その逆もおススメです。英作文の比重が結構高いので、そこも対策は必要です。自由英作文もある程度数を書いておいて、添削を受けておきたい。自分の減点されやすいポイントをつかんでおきましょう。
その他:共通テストの割合が下がったので、ある程度普通に8割5分くらいを目指して対策しておけば良いと思われます。理系は国語が2次試験にないので、共通テスト特化でいいですね。
と、そんな感じです。
つまり、まとめると
数学については、東大と阪大は対策が割と似ていて、京大を受けるなら一般的な設定の四面体などの問題に対応する訓練をしておくべきで、京大受験者が東大阪大を受けるなら数3や通過領域などの訓練をしておくべきと言えます。
英語については、京大と阪大は対策が結構似ていて、東大を受けるなら、リスニングと小説、要約、時間配分などの訓練が必要でちょっとかなり負荷が高い。東大受験者が京大阪大を受けるなら難しい日本語の英作文の対策と、速読というよりもう少し精読に近い練習をしておくべきかなと思います。英作が結構時間がかかるかもしれません。