世界史の魔術師。

松谷です。

昔、僕がいた高校に、「世界史の魔術師」の異名をとる先生がいたんですね。

世界史の魔術師って聞くと、

 

あらゆる技術を駆使して、生徒に魔術を施して

どんな生徒でも世界史を大好きにさせて、

高得点を連発させるような先生を思い浮かべますでしょうか。

 

うちにいた魔術師は一味違いました。

 

 

その魔術は授業の生徒の反応に如実に表れます。

 

 

世界史の授業、だいたい午後の昼休み終わりからスタートでしたでしょうか。

 

生徒はぽかぽかと暖かい昼下がり、昼休み明けで多少けだるそうにしながらも、45人の生徒全員に授業にしっかり参加しようという態度が見て取れます。

 

そのクラスは結構優秀だったんですね。

確か、ちょっとうろ覚えですが、そのクラスから京大医学部合格者は3人くらい、それ以外にも駿台全国模試で2位に50点くらい引き離して断トツ1位獲得者など出ているくらいでしたから。(えっ僕ですか?まあ僕はモブですかね笑)

 

そんな向学心に燃えているクラスですから、なんだかんだみんな「よし世界史を学ぼうか」と先生の方を見ています。

 

そして、授業が始まりました。

 

 

先生が何やら空中に向けて呪文を唱えています。

 

先生「ですから、中世ヨーロッパでは、ぼそぼそ(超小声)、です。そのあと、ほにゃらら(超小声)が出てきて、ぼそぼそ(超小声)しました。この理由は、ぼそぼそ(超小声)ですね。」

先生「そもそも、ぼそぼそ(超小声)だったんですね。ははは。」

 

そう、彼は、内容がほぼ聞き取れない呪文を空中に撒布し続けていました。助詞や助動詞、接続詞だけが唯一聞き取り可能でした。

また、生徒の誰も彼と目が合いません。

 

そんな中、一人また一人と生徒が机に倒れていきます。

 

テニスの昼練をめいっぱいした後なうえに、世界史が苦手な僕などひとたまりもなく、開始10分以内には必ず倒されていました。

 

しかし、ある日、僕はなんと途中回復に成功したんですね。

 

魔術の効き目が弱かったようです。30分後に生き返ったんです。

 

そうしたら、なんと生き残っているのはたった二人!!

 

学年一まじめなまじめくんというあだ名の生徒と、あとは京大医学部に進学した一人の生徒だけが粘っていました。

 

そんな二人に混ざれたような気がしてすごく誇らしかったような気がしていました。

 

しかし、なおも強力な魔術で生徒を襲う先生。そして、ついに粘っていた京大医学部進学者では耐え切れずダウン!!

 

人が眠気に耐え切れず寝てしまうシーンを初めてまじまじと見た気がします。

 

そう、あとはまじめくんと僕の2人だけ!しかも僕は超回復をしたばかりなのでめちゃめちゃ有利なはず!!

 

ついにあの苦手な世界史でクラス1になれるのか!すごく興奮していたのを覚えています。

 

 

そして、

 

 

 

次に気づいたのは授業終了のチャイムが鳴ったときでした。

 

 

 

そう、僕は超回復後にも関わらず再度、呪文にやられていたんです。

 

 

終了のチャイムで多くの生徒が起き上がり、自分の机にできたよだれの海に嫌悪感を抱きながらも、体力回復をできたというささやかな喜びもたずさえてそれぞれの時間を過ごしていくのでした。

 

 

 

いやあ魔術師恐ろしや。

 

 

その後の僕ですか?僕は世界史選択をあきらめ地理選択にして、最後の2か月で追い込んで自分で参考書で勉強することにしたわけですね。。。80点くらいでしたけど。。。

世界史の魔術師。” に対して2件のコメントがあります。

  1. 中村知佳 より:

    松谷先生は数学の先生なのに文章も面白いです。
    何か所か声を出して笑ってしまいました。
    私の学生時代も社会の時間は主要教科の内職の時間にしているか寝ているかの人が多くて、先生が可哀そうでした(笑)。でも自分の趣味の領域を本人は楽しそうにしゃべっていた印象です。

    1. 松谷学 より:

      コメントありがとうございます!
      ちょっと生徒と社会の選択の話になったので、昔話をかいてみました!
      しょーもない文を読んで頂いてありがとうございます!

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