2021東大数学出題意図は?

松谷です。

先日京大数学について述べたので、2021東大数学について1問とりあげて述べてみます。

まず、東大が発表する出題意図ですが、、

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400160342.pdf

うーん、これは役に立たないですね。京大の方が真摯に書いてくれてましたね。

まず、2021東大理系数学はまずまずの難しさで実力差が出ると思います。合格者の平均点は60点くらいで不合格者は35点とかそれくらいでしょうか。

毎年、東大理1理2だと2完プラス部分点か、3完であんまり部分点なしくらいがだいたい勝つラインです。理3だと3完プラス部分点多めか、4完ちょっとみたいな80点前後くらいが最低ラインといったところでしょうか。

で、2021年は、第1問、第2問と通過領域の問題が出ていました。で、通過領域が東大は大好きなんですよね。

京大に比べてとても好きという認識です。文系でも理系でも。ちなみに、一橋もすごく好きですね。

理系第1問と文系第3問が共通問題だったのですが、こんな問題でした。

 

(1)が超基礎の解の配置だったので、それを省略するとこんな問題でした。

a,bという2変数をx,yに変換するいわゆる写像の問題ですね。

写像の問題には、一応大きく言って2通りの解き方があります。

ひとつは、逆像法、もうひとつは順像法です。

(もうひとつの考え方である包絡線はとりあえずおいときます。また、ベクトルの終点の存在範囲で領域を考えることもありますが。2021の第二問など。)

逆像法はざっくりいうと、「a,bの値に対して、x,yはどこを動くか?」って考えるかわりに、「定数扱いしたx,yに対して条件を満たすa,bはあるのか?」とx,yが通過領域内にあるんだったら、それを逆向きにたどったa,b(逆像)を考えたらそれがあるよね?とする考え方です。

順像法は素朴にa,bを動かしながらx,yを追いかける方法なのですが、そのなかでもxを固定してそのときのyの値域を考えてそのxを動かして全体の領域を調べる文字固定的な考え方(大数という雑誌ではファクシミリの原理といわれてます)が代表です。

ということで、通過領域の問題ならだいたい2つは解法が考えられるわけです。

でも、この問題は文字固定するにしてもxの次にaを固定するのかbを固定するのかで分かれます。ちなみにbの方が簡単です。

逆像法でやるにしても、領域内にa,bが存在するということをいうときに、線形計画法的にやるなか、正領域負領域のやり方でやるのかでも少し楽さが変わってきます。

 

もちろん、順像法と逆像法は実際はほとんどのケースで両方が使えるわけですが、こういうときは少しどっちが使いやすいとかもあります。対称式とか二次以下の式とか解の存在範囲が複雑じゃないとかだと逆像法がやや楽になりがちで、文字が多いとか、2次式以下じゃないとかだと順像法を使いがちですね。

でも、僕自身は基本逆像法から考えることが多いですね。これでできるなら速いので。ただ、ひとつ言えるのは東大は京大と違って解法を指定してくることがあってそれが順像法のときがあるんですね。

それが逆像法から考えるのが好きな僕としては、少し、そうですかあ、じゃあしゃあないなって感じです。

でも、今回の問題については指定がなかったですね。そして、逆像法で処理する方がだいぶ楽だなという印象です。

一応、逆像法アンド正領域負領域の考え方と、

x,bを先に固定した順像法での解答です。

逆像法アンド線形計画法でもやりやすいです。

順像法でx,a固定は結構面倒ですね。

 

まあ、東大受ける人はこの問題も含めてしっかり15年分くらい過去問やっとくべきかなと。すごく傾向がある大学ですのでね。