2023東工大数学を解いてみた
松谷です。
新年度の入試が始まってしまいますので、
その前に旧年度のやつでやってないやつを解いておこうかなと思い、
2023の東工大の数学を解いてみました!
問題はhttps://www.stepnet.co.jp/daigaku/data/23tkd.pdf
このあたりをご参照ください。引用させていただきました。
全体
東工大といえばかなり重厚な問題を出すというイメージです。3時間で5問なので1問36分ですね。名古屋大と同じく、解く速さというより難しい問題を粘り強く取り組むという感じの力が求められています。毎年解いていたわけではありませんが、今年の問題のレベル感は例年通りという感じのようですが、実際いい問題が多いなと思いました。どう考えても捨て問というレベルの問題がある年がちょこちょこあることを考えると。東工大志望の人だけでなく、東大(京大)阪大志望の人たちが練習にやるにもいい問題が多いなという印象がありました。数3の微分積分が結構多いというイメージがありますが、今回も二つの積分の問題が結構ハードだったかなと思います。
第1問 積分の評価
いやあこれ講師サイドからすると楽しい問題です。積分の評価の問題というのは被積分関数を評価するわけですが、これが評価の仕方が決まっているわけではないんですね。グラフの単調減少な様子を考えつつ、どう評価するか(不等式をつくって数字の大小を考えることを評価するといいます)。長方形による評価なのか、接線を利用した三角形や台形での評価なのか、それとも、純粋に関数だけに注目してやっていくのか。上からの評価は割と簡単で2/x+e^xのxを消せばいいだけです。ただ下からの評価は、積分できるやつということで2/e^x+e^xとしてもわずかにとどかないんですね。わおどうしようかな。評価する部分を分割しようとしたり、接線で考えようとしたりしましたが、いまいち最初うまくいかなくて、e^x>xがちょっとわりと余裕すぎる評価なのでもう少し厳しくしようとしてe^x-1≧xとしてやれば無事解決しました。そのあとも少しありますが。でもほかにもe^(x-1)≧xやx=1のところでの接線を考えて三角形による評価でもうまく行くことがわかり、これは演習価値が高いと解いててハッピーな気持ちになりました!なんとなくこれまでに使っていた演習問題を1問差し替えようと思いました!やや難の問題ですけどね。
第2問 整数問題
これは地道にがんばる整数問題ですね。右辺の86400を素因数分解したら2^7×3^3×5^2になっていて、右辺の連続三整数の掛け算との約数倍数関係を考えるわけですね。ほかの素因数が入ってこないようにしつつ、上限の数字を考えていると6くらいまでになっているわけですね。5が2乗の中に含まれていることがわかりますから、もうあとはしらみつぶししても2種類くらいしかありません。マイナスバージョンも忘れないようにして出来上がりですね。標準くらいですね。割と早めにさばけるかなと。
第3問 複素数のサイコロっぽいものと確率
毎回0,1,√3というカードから2枚引いて複素数を作っていく。それをn回繰り返したときの積についての問題。(1)は絶対値が5未満になる確率で(2)は実数になる確率ですね。ほぼサイコロの積みたいな問題です。(1)(2)とも状況を把握して6通りの出方をもうちょっと大きなくくりに場合分けしていくことがポイントです。(1)はシグマっぽい発想(ただの組み合わせでやるのが普通)で直接数える、(2)はその方針だと途方もない苦労になることが見えますので、漸化式を疑うとあ~よく見る形ですねというところです。レベル的には標準といった感じです。最難関大の典型的な問題で京大や阪大とかでも何回かお目にかかったような問題なので、慣れている人にとっては結構速くできて時間が稼げて、その分を第1問や第4問、第5問などの時間がかかりがちな問題に回せると思います。
第4問 非回転体の体積の共通部分。
円柱の真ん中を角柱でくり抜いたものと、それを少し回したものとの共通部分を考える問題。もちろん立体のまま最後まで考えることはできませんから、平面で切ってから積分します。どの面で切るのが楽かを考えるのはマストです。ここで2,3分の検討時間を取らないのは地獄行きになってしまいます。xで切るのもyで切るの面倒そうな感じがしますので、zで切るのがいちばん切断面がシンプルかなと。長方形を一部削っただけになるので。あとは場合分けを3つくらいして、対称性を考慮して最後2倍して終了なんです。なんですが、0~1と1~√2の範囲の積分がひたすらに鬱陶しくて、そのあとの同類項を整理しての足し算も面倒すぎる。。。嫌がらせというレベルです。しかもこんだけ計算したら最後の答えがあっているかどうか神頼みになってしまいます。。。しっかり場合分けと途中の計算を書いて、置換積分や円の面積を利用したりして少しでも計算を減らす努力をしたうえで、、本当の些細なプラスマイナスのミスをしてしまった場合に部分点を祈ることになりますね。。。立式自体は標準~やや難くらいなんですがね。。本当に合うかといいますと、、、。まあめちゃくちゃ時間がかかるのは確かです。
第5問 等距離にある面の方程式
(1)で2直線からの距離が等しい点の集合を考える。つまり角の2等分面(?)を考えることになります。角の二等分線であれば、点と直線の距離公式が等しいみたいな立式になると思いますが、空間なのでそれはちょっとできません。そこで、経験があれば、内積を利用してcosが同じというような立式に行きつくかと思います。円錐面の方程式を出すときのように。このときに角の二等分線と同じく二種類でることに注意は必要で、式としてはcosの絶対値が等しいという形になります。知らないと無理やり距離をパラメーターtなどで表して、平方完成などして最小値を求めてそれが等しいということになりますが、さすがにきついかなと。特に(2)まで考えるとほぼ詰んじゃうような気がします。(2)は(1)の2直線を含む4直線からの距離が等しいことを考えます。結局(1)と同じ作業を3回したうえで連立方程式を解くことになりますが、これもひたすら面倒ですね。。。もし経験があればやっていること自体は標準的なんでしょうけど、合わせることを考えるとやや難だと思います。そしてそもそも経験がない人も多そうな気がします。
ふ~。大変な入試だなというのが正直な感想ですね。時間制限が緩いのだけが救いですね。